「黄金の地」で南米一のワインを目指して
アレクサンデル・ヴィック氏には夢がありました。それは南アメリカで一番のワインを造ること。ヴィック氏はワイン醸造学、気候学、地質学、葡萄栽培学、経済学の各専門家を集め、その大陸で理想的な土地を探し、夢に描いたワイン造りを目指しました。その地は、チリのサンティアゴから2時間ほど離れた、アパルタの山々を超え、モンテスとカサ・ラポストールワインの産地です。ほぼ11,000エーカーにもなる葡萄畑であり、この土地は、偶然にも先住民族の言葉で“黄金の地”を意味するミヤウェ・ヴァレーという名の地に広がっていました。
ヴィック氏の素晴らしい判断でプロジェクト責任者に任命されたパトリック・ヴァレット氏は、フランス、アメリカのカリフォルニア、ウルグアイ、スペインのリベラ・デル・ドゥエロとチリで、ワイナリーオーナー、葡萄栽培学者、ワインメーカー、醸造コンサルタントの役職を務め、様々な経験を積んできました。パトリック氏はヴィック社のCEOであるほか、アントル・ドゥ・メールにある、シャトー・ドゥ・ルージェリーも所有しております。ヴィックワイナリーは3銘柄を生産しています。
厳選された畑と葡萄
畑を購入する前に、土地の所有者の許可の下で土壌をチェックし、4000のサンプルをとってきました。地質のマッピングを行い、どこに何の接木をして何の葡萄品種のクローンを植樹すべきかを決定しました。接木は1要素に過ぎません。チリは物理的に隔離されているため1800年代後半にヨーロッパを襲ったフィロキセラの被害に遭わずにすんだため、
地理のほとんどの葡萄は自身の根をもっています。パトリック氏は接木を選択することで、幅広い地質に適応することが可能となり、生長をコントロールし、水へのアクセスに適応することができるといいます。
パトリック氏は、個人的に畑の土壌の記録をとらなければならず、これは簡単なことではなかったと言います。しかし、プロジェクトの成功のためには不可欠なことであり、最終的に植樹するのにベストな区画をマッピングしました。各区画に対し、接木、葡萄品種、そして各品種のクローンのマッピングを行いました。
植樹した品種というのは、ボルドーでワイン醸造を学んだ人物から予想されるであろう種類、つまり、カベルネ・ソーヴィニヨン、カルメネール、カベルネ・フラン、メルロー、そして予想外ですがシラーも植樹しました。
現在、900エーカーに葡萄が栽培されています。900エーカーの葡萄のうちたったの20%しかヴィックのワインに使用されず、残りは他のワイナリーが買い取ります。ヴィックは将来的にはワイン生産量を増やすことを望んでいます。現在生産しているヴィックのワインと同じ樹齢の葡萄を使用して、生産量を上げていきたいと考えています。